明治日本の産業革命遺産
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PEOPLE

2019.06.17
Vol.32
「シンクロニシティー」が生んだ世界遺産登録という奇跡~想いの強さが志ある人々の共感を呼び起こした!~

エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社 代表取締役

大上 二三雄 氏
大上 二三雄 氏

■“九州財界応援団長”の橋田紘一さんを紹介

--それと、九州の政財界の実力者にもお取り次ぎいただいたそうですね。

大上 はい。私は北九州の出身でして、そのため現在も北九州市の参与をしている関係で、福岡や北九州には人脈があるんですよ。そこで、当時九電工社長だった橋田紘一さん(現特定非営利活動法人九州・アジア経営塾理事長兼塾長)にご紹介したんです。そうしたら次には橋田さんが音頭を取って、JR九州社長だった石原進さん(現相談役、産業遺産国民会議理事)をはじめとする地元九州の強力な応援団を結成されることになったんです。

--いわば“影の参謀”として、推進母体のコアとなる方々をご紹介してくださったというわけですね。

大上 私の役割はそこでもう終わったんですよ(笑)。加藤さんはあの頃ちょうど、そうやって突破口を切り開こうとしていた時期だった。うまくタイミングが合ったんですね。

--その後、「明治日本の産業革命遺産」は本欄でも度重ねて紹介しているように、国内外でさまざまな困難にぶつかりながらも、難題を1つひとつ乗り越えて、2015年にユネスコ世界文化遺産に登録されることになりました。その後の大上さんの役割はどういったものだったのでしょうか。

大上 これ以降はもう、私が直接関わることはありませんでした。もっぱら加藤さんの愚痴の聞き役に徹しておりました(笑)。いつも、いきなり電話が掛かってくる。パソコンに向かいながらスピーカーホンに切り換えて生返事をしていると、「ちょっと、ちゃんと聞いているの!」と突っ込まれたりしてね(笑)。それはさておき、加藤さんはこんな困難な大仕事をよくぞ実現させたものだ、と今更ながらに感心していますよ。

--ということは、初めて構想を聞かれた時には「これは難しいんじゃないか」といった危惧を持たれた……。

大上 テーマとしては面白いし、私の地元の北九州も絡む話だし、私もできるだけご協力しようと考えました。が、率直に言って「奇跡でも起きない限り、無理じゃないかな」とも思いました。

 けれども、実際に奇跡は起きた、それも2回も。いわば予選である国内の審議では省庁間の厚い壁に行く手を阻まれ、本選のユネスコの委員会では韓国の激しい妨害工作に直面した。この2つの壁を、加藤さんは多くの人たちを巻き込みながら、その力を結集して乗り越えたんですからね。これは奇跡と言ってもいいほどの功績じゃないでしょうか。

--大上さんとの出会いも1つの奇跡かもしれませんね。北九州ご出身で土地勘と人脈がある専門コンサルタントの方が絶妙なタイミングで“出現”されたんですから。

大上 確かにね。今から思うと、あの頃は比較的時間にも余裕があった。本業のかたわら、規制改革委員会のメンバーもやらせていただき、前出の和泉さんとも霞ヶ関の合同庁舎の和泉さんの部屋で地域興しについて、よく議論をさせていただいたりしていましたから、加藤さんのお話を伺い、いろいろな人にご紹介することもできた。

 現在、私はご縁があって測量機器や医療機器を手掛ける大手光学機器メーカーの株式会社トプコンの常務事業本部長を務めていて、自分のコンサルティング事務所の方はスタッフに任せているような状態でして、多忙を極めているんです。今だったら、とてもあんな風にお付き合いはできなかったろうと思います。

--モノ作りに精通したコンサルタントとして、「産業遺産」という概念にビビッドに反応されたという面もあったんでしょうか。

大上 えぇ、とても大事なものだということはすぐにピンときましたね。実際、あの頃、コソン卿を私の主宰するランチョン・セミナーの講師にお呼びしたこともあったくらいです。

 まさに「シンクロニシティー」ということなのではないでしょうか。志を同じくする人たちが集まって、より力を増して最後は社会を動かす。これは決して偶然の出会いなのではなく、発信力のある人間が周辺の人たちを呼び込み、その人たちがさらに自分の周りの人たちに伝えていく。そういう関係性を3クッション、4クッション経れば、必ず最初の発信者の「想い」に共感する人が現れて協力したり、あるいは思わず引きずり込まれていく(笑)。加藤さんにはそんな力があるように思います。それだけ「想い」が強いということでしょう。

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