観光ガイド歴18年、あふれ出る"三角西港愛"~世界遺産登録はゴールではなく、新たな出発点~
プロフィール
1949年2月 熊本県三角町(現・宇城市三角町)生まれ
1969年3月 熊本県果樹講習所卒業(短大資格)
1974年10月 文部省認定通信教育「東京農業大学」農業講座
園芸科修了
1986年 三角西港の活用を目指して「三角を考える会」を
設立、会長に就任
1999年 国の重要文化財指定に向けて「三角西港の文化、
文学を考える会」を設立、会長に就任
2002年 三角町観光協会が母体となって組織した「三角西港
観光ボランティアガイドの会」(現・三角西港観光
ガイドの会)に参加し、会長に就任、現在に至る。
◇本業はミカン、デコポン、イチジクを生産する農家の三代目。人生訓は「一夫 義に立てば、回天の業なる」。
明治日本の産業革命遺産」の構成資産の1つである三角西港(熊本県宇城市三角町)の観光ボランティアガイドのリーダーとして活躍する齊藤万芳さん。“三角西港の生き字引”として知られる名ガイドであるだけでなく、30年以上にわたって国の重要文化財指定、ユネスコ世界遺産登録のために尽力してきた地元の推進役でもある。さらには地元自治体、教育機関、消防団、JAなど、あらゆる地域活動に精力的に取り組んできた。三角町と三角西港を愛し、日々、全力投球で地域活動を続ける齊藤さんを突き動かしているのは、「貴重な世界遺産を地域のために活かし、次の世代に伝えていく」という熱い想いだ。
■シンポジウム参加をきっかけに「三角を考える会」を設立
--齊藤さんはいつから三角西港のボランティアガイドを始められたのですか?
齊藤:平成14(2002)年に宇城市と合併する前の三角町の観光協会がつくった「観光ボランティアガイドの会」に参加した時からです。最初のメンバーは8人でしたが、今も続けているのは私だけになりました。
--ということは、三角西港が「明治日本の産業革命遺産」の構成資産としてユネスコ世界産に登録されるずっと前からガイドの活動をされていたんですね。
齊藤:そういうことです。当初はボランティアで始めたのですが、途中で有料になった時期があり、会の名前から「ボランティア」を外すなど多少の変更を行い、世界遺産登録の1年前の平成26(2014)年、正式に「三角西港観光ガイドの会」として再発足しました。その際に改めてボランティアガイドを募集し、講座を2回開いて合格した18人でスタートしました。今は12人ほどになりましたが、その間、私はずっと会長として活動を続けています。
--おすすめの観光コースを紹介してください。
齊藤:明治中期に造成された三大石積み港の中で現存しているのは三角西港だけ。やはり、まずはこの756m続く石積みの埠頭を見ていただきたいですね。山の水を排出する3本の排水路もしっかりと残されています。それと、周辺にある古い建物群も明治の息吹を今に伝えています。「龍驤館」や「旧三角海運倉庫」、さらに街区の高台には「旧宇土郡役所」「旧三角簡易裁判所」といった建物が残っています。港だけでなく、当時の最先端の技術を駆使した建造物が現存していることも三角の魅力ですので、観光客の方々にはお楽しみいただけると思います。
--地元生まれの齊藤さんにとって、三角西港はまさに郷土の誇りなんですね。
齊藤:いやぁ、実は以前はほとんど知らなかったし、関心もなかったんですよ。三角西港と関わるようになったきっかけは、昭和58(1983)年に開催された「三角西港シンポジウム」に参加したこと。このシンポジウムは熊本大学の堀内清治先生をはじめとする研究者の先生方が企画されたもので、全国から500人以上の“三角西港ファン”が集まり、大盛況でした。この時初めて、「三角にもこんな素晴らしいところがあるんだ」と西港の歴史的価値を認識するようになり、勉強を始めたんです。そして昭和61(1986)年に、10人の仲間と一緒に「三角を考える会」を立ち上げました。
--具体的には、どのような活動をされたんですか?
齊藤:三角には楽しむ場所がない。そこで、三角西港の施設を使って遊んだというか、人を呼び込む楽しいイベントをいろいろと仕掛けていきました。例えば、平成2(1990)年に古い武家屋敷づくりの細川別邸で「お茶と琴の集い」を開いたり、50社ほどの協賛企業を募って「世界の食と音楽の夕べ」を定期的に開催して3,000円の会費で6,000円相当の食事を提供して楽しんでもらったりと、いろんな催しを全て手弁当でやってきました。
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Vol.56
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フジサンケイグループ 代表
株式会社フジ・メディア・ホールディングス取締役相談役
株式会社フジテレビジョン 取締役相談役
Vol.55
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Vol.54
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Vol.53
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「遺産観光」の振興に向けたルート整備にいっそうの力を~忘れ難い故郷・呉への空襲と広島原爆の記憶~
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歴史や文化を継承することは、次世代の技術革新を生み出す~"使いながら残す"に道を開いた「明治日本の産業革命遺産」~
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ジャイアント・カンチレバークレーンと小菅修船場跡の3Dデジタル・ドキュメンテーション
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富士山と韮山反射炉、2つの世界遺産を一望できる茶畑の丘 --次の夢は「子どものためのミニ反射炉」で体験学習
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ロイヤル・カレッジ・オブ・アート副学長・評議会議長
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Vol.11
「ものづくりの街・北九州」への愛着と誇り--"シビック・プライド"を呼び起こしてくれた世界文化遺産登録
Vol.10
世界遺産登録決定祝賀会レポート(@ドイツ・ボン)
2015年6月28日から7月8日まで、ドイツ・ボンにて第 39 回世界遺産委員会が開催され、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録が決定しました。
今回は、世界遺産登録決定祝賀会の様子をお伝えいたします。
Vol.9
使いながら保存する-「稼働遺産」の保存・活用に新たな道を拓く
阪神高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員
(一般財団法人産業遺産国民会議 理事)
Vol.8
港湾法の体系で、世界遺産の保全を担保する
Vol.7
近代化を切り拓いた長州ファイブと試行錯誤の痕跡を残す萩の資産
Vol.6
日本の「ものづくり」「産業」の原点を伝える「明治日本の産業革命遺産」
Vol.5
日本の近代工業化を石炭産業によって支えた三池エリア
Vol.4
国家、社会のため、広い視野と使命感を持って試行錯誤しつつ挑戦し続けた「明治の産業革命」の意義
文部科学省 生涯学習政策局 生涯学習総括官
前 内閣官房 内閣参事官
Vol.3
「鉄は釜石から八幡へ」 近代製鉄発祥の地から誇り高き文化を伝える
Vol.2
強く豊かな国家を目指して 薩摩藩主島津斉彬が築いた『集成館』
一般財団法人産業遺産国民会議 理事
島津興業 相談役
Vol.1
産業国家日本の原点 『明治日本の産業革命遺産』を次世代へ
「九州・山口の近代化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会 会長/鹿児島県知事