三角西港を作った先人の知恵、技術、行動力を子供たちの代へと継承していきたい~コロナ後も続く未来を見据えて今できることに全力で取り組む~
プロフィール
1959年熊本県下益城郡小川町(現宇城市小川町)生まれ。
1983年中央大法卒、 司法書士や老人ホーム理事長などをしながら2003年に熊本県議初当選、3期10年務める。
2013年2月に宇城市長初当選。現在3期目。62歳。
熊本県宇城市の三角西港は、宮城県の野蒜港、福井県の三国港と並ぶ明治三大築港の一つ。当時の県知事・富岡敬明氏が貿易港の建設に着目したことに端を発し、明治政府から派遣されたオランダ人水理工師・ムルドルの設計、天草の石工たちの施工により、3年間の工事期間を経て明治20年に開港した。そこから約130年が経過した今も明治期の築港当時の姿を留めている。
三角西港が構成資産の一つとして高く評価された理由
加藤 明治三大築港の中で現存するのは三角西港だけということで、756メートルにも及ぶ石積み埠頭と水路が平成14年(2002年)に国の重要文化財に指定されていますね。私も何度か宇城市を訪れていますが、オランダの風情と明治の面影が残っている本当に素敵なところで。天草大橋を渡って海岸線をドライブするだけでテンションが上がります。産業革命遺産群の中でもっとも景観が美しい場所といえるのではないでしょうか。龍驤館、旧三角海運倉庫といった趣のある建物が残っているというのも素晴らしい。たくさんの方に足を運んでいただきたいと心から願っています。
写真:三角西港埠頭 提供:宇城市教育委員会
守田 ありがとうございます。龍驤館は現在、三角西港と明治日本の産業革命遺産のガイダンス施設となっています。旧三角海運倉庫は昭和63年に修復、昨年度に耐震補強工事を行いまして、現在はレストランとして利用しています。いつの時間帯も人気ですが、中でもテラスから眺める夕陽の美しさが格別だと好評です。また街区には「旧宇士郡役所」や「旧三角簡易裁判所」など、おそらく当時の最先端技術を投入して建築されたのであろう建物も今に残っておりまして。NHKドラマ『坂の上の雲』や映画『るろうに剣心 京都大火編・伝説の最期編』の撮影場所としても広く知られているようです。
写真左:龍驤館外観 写真右:旧三角海運倉庫 提供:宇城市教育委員会
加藤 そうですか。確かに幕末の日本を描いた映像作品のロケ地として最適ですね。けれど何といっても圧巻なのは三角西港。山を削り、海面を埋め立てるという日本の伝統的石工の技術の集積によって造られた港湾都市であり、今も合理的な都市基盤整備がほぼ完全に姿を残しているという点が高く評価され「明治日本の産業革命遺産」の構成施設の一つに選ばれました。
守田 三角西港は明治22年に国の特別輸出港に指定されると米・麦・麦粉・石炭・硫黄の5品目が輸出されるようになり、九州の一大集散地として栄えます。中でも石炭は、三池炭鉱から三角西港へ運ばれ、大型蒸気船に積み替えて中国の上海へ輸出されていました。
加藤 だからこそ三角西港は石炭産業の発展を支えた、延いては明治日本の産業革命に深く携わった地であるといえるのです。
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株式会社フジテレビジョン 取締役相談役
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