明治日本の産業革命遺産
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PEOPLE

2019.01.31
Vol.30

産業遺産の歩みを"100年後を生きる人々"への希望に

平野 達男 氏

参議院議員

平野 達男 氏
プロフィール

昭和29年5月2日、岩手県北上市に生まれ、昭和48年3月岩手県立水沢高等学校、同52年3月東京大学農学部を卒業。昭和52年農林省に入り、平成6年岩手県農地建設課長、同7年農地計画課長、同9年関東農政局設計課長、同12年構造改善局技術調査官、同13年農林水産省退職。参議院選挙区(岩手県)選出(平成13年、19年、25年/当選 3 回)。農林水産委員長、予算委員長、内閣府副大臣(国家戦略等担当)、東日本大震災復興対策担当大臣・内閣府特命担当大臣(防災)、復興大臣・東日本大震災総括担当大臣を歴任。現在、参議院農林水産委員、同東日本大震災復興特別委員会理事、自由民主党総務、同農林・食料戦略調査会副会長、同農林部会役員、同中小企業・小規模事業者政策調査会会長代行、同東日本大震災復興加速化本部顧問、同農林水産災害対策委員会委員長。

――「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に向けて取り組みを始められた時期や経緯などについて教えていただけますでしょうか。

 2010年の9月、民主党政権の下、私が内閣府副大臣に就任して3日目のことでした。釜石市の野田武則市長と加藤康子さんが副大臣室に来られて、「九州・山口の近代文化産業遺産群」(後に「明治日本の産業革命遺産」と改名)に関するお話を伺いました。加藤さんとお目にかかったのはその時が初めてでしたが、情熱的なプレゼンテーションが印象的です。実際、加藤さんの情熱とパワーがなければプロジェクトを推進していくことはできなかったでしょう。さまざまな苦難を乗り越えて、よく成し遂げられたなと頭の下がる思いです。

 ハーバード大学院で産業遺産を学ばれたという加藤さんの知識の深さにも感嘆しましたが、何よりも「日本のためになることをしたい」というお考えに心を惹かれました。加藤さんは「今の日本があるのは明治時代の産業革命があればこそなのではないでしょうか?」と切り出され、「製鉄、製鋼、造船・石炭といった産業の現場で、汗を流して働いた人々のことは教科書には出ていませんが、そうした方々の功績を再認識することが、日本人に勇気や希望を与えることになると考えています」といったことをおっしゃいました。それを受けて私は「どうしてこれまで日本には産業遺産の世界登録が行われてこなかったのだろう?」という素朴な疑問を抱きました。なにか盲点を突かれた気がして、咄嗟に「これは素晴らしいプロジェクトですね」とお伝えしたのを覚えています。野田市長が加藤さんと私を引き合わせようとお考えになったのは、私が規制制度改革の担当者だからだろうと認識していたので、自分にできることがあるのならと前向きに受け止めたのです。

――本題はどういった内容だったのでしょうか?

 当時、「九州・山口の近代文化産業遺産群」世界遺産登録推進協議会は大きな壁にぶち当たっていました。これには民主党政権だった2010年9月に「新成長戦略にむけた三段構えの経済対策」が閣議決定されたという背景があります。そこから「財源を使わない景気対策」における「日本を元気にする規制改革100」を掲げようという発想が生まれ、これに経済産業省の担当者が「産業遺産の世界遺産登録に関わる運用の見直し」をポンと挙げました。ところが文化庁の理解を得ることができず、政府が決定する閣議決定のリストには入らなかったのです。

 もっとも大きな問題は、産業遺産の構成資産の中に「三菱長崎造船所」「官営八幡製鐵所」「三池港」などの稼働資産が含まれていることでした。文化遺産や自然遺産であれば保護するという方向性で検討すればよいわけですが、稼働資産に文化財保護法を適用すると企業の経済活動に影響を及ぼしていまいます。前例のないことでもあり、文化庁は現役の設備施設には文化財保護法を適用することができないという理由から産業遺産の世界遺産登録は論外であると決定づけたのです。しかし加藤さんは、ここで諦めるわけにはいかないということで打開策を模索していると。ご相談内容はこうしたものでした。

 その折に加藤さんはいろいろな関係省庁の法律を駆使すればできない話ではないと考えているとおっしゃいました。海外には港湾法や景観法、開発を監督する官庁が計画を管理し、保全と稼働を両立している産業遺産があると。意見を求められた私は、稼働資産を持つ会社に理解を求めることが大切だとしたうえで、稼働資産を世界遺産に登録するための新しい枠組みを構築することは可能だと思いますとお答えしました。文化庁は日本には文化遺産と自然遺産以外はいらないといわんばかりの見解だというけれど、そんなことを誰が決めたのかと。論点は「できるか、できないか」ではなく、「やる気があるか、ないかだ」と、そんな話をした記憶があります。

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Vol.30
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今回は、世界遺産登録決定祝賀会の様子をお伝えいたします。

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