明治日本の産業革命遺産
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PEOPLE

2017.07.19
Vol.20

忘れ難いS・スミス氏との激論の日々 ~異文化の中で出会った"なじみ深い19世紀の産業遺産"~

バリー・ギャンブル(Barry Gamble)氏

世界遺産コンサルタント

バリー・ギャンブル(Barry Gamble)氏
プロフィール

世界遺産のコンサルタントで、特に産業遺産に造詣が深い。25年間世界遺産のアドバイザーを務め、過去15年間はヨーロッパと日本における5つの世界遺産登録推進に寄与してきた。その他、メキシコ、カリブ海、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドにおいても活躍し、さらに3つの世界遺産登録推進にあたり助言を提供している。ICOMOS(国際記念物遺跡会議、International Council on Monuments and Sites)とTICCIH(国際産業遺産保存委員会、the International Committee for the Conservation of the Industrial Heritage)両方のメンバー。

--バリー・ギャンブルさんは世界遺産コンサルタントとして「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界遺産登録にご尽力されました。まず、これまでのご経歴を教えてください。

ギャンブル: 私のバックグラウンドは地質学・地理学でして、この分野の産業に従事した後、英国プリモス(Plymouth)大学の講師を経て、1995年から世界遺産のインタープリテーションの仕事を始めました。2003年からは英国の「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」のユネスコ世界遺産リストへの登録を目指す活動に参画し、06年に実現することができました。

 その後はオーストラリア、メキシコ、南アフリカ、ニュージーランドなど世界中で世界遺産の仕事を手掛け、06年からは「明治日本の産業革命遺産」に関わるようになりました。おおよそこの25年間、私は地質学・地理学の専門知識を生かして、主に世界遺産の登録を実現するためのアドバイザーの仕事を続けています。

--世界遺産コンサルタントとしての専門分野はどのようなものなのでしょうか?また、これまでユネスコやイコモス(国際記念物遺跡会議)の中でお仕事をされたことはないのですか?

ギャンブル: 専門領域としては、まさに産業遺産に特化しています。他方、世界遺産への登録について言うと、どのようにして登録を実現するかというプロセスにフォーカスしたコンサルティング活動をしています。私はイコモスのメンバーではありますが、ユネスコやイコモスの内部機関で働いているわけではありません。あくまでも独立したフリーランスのコンサルタントとして、世界遺産サイトを保有する様々な国の政府や地方自治体、管理団体などに直接コンサルティングしています。

--「明治日本の産業革命遺産」のプロジェクト推進者である加藤康子専務理事とは、2006年に本遺産と関わるようになる以前から交流があったのですか?

ギャンブル: いえ、そうではありません。私は本遺産の世界遺産登録に尽力した故スチュワー・スミス氏を通じてこのプロジェクトに参加することになりました。康子さんとはその際に初めてお会いしました。私とスチュワー90年代前半から共に「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」の調査研究に取り組み、確か99年だったと思いますが、これを世界遺産に登録しようというプロジェクトを一緒に立ち上げたのです。そして、05年に私はスミス氏の協力も得てコーンウォール景観遺産の推薦書を書き上げてユネスコに提出し、最終的に06年6月に無事に世界遺産に登録することができました。

--そうすると、ギャンブルさんは「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」という大きな仕事を成功させて、休む間もなく、「明治日本の産業革命遺産」の仕事に取り組むことになったわけですね。

ギャンブル: そのとおりです。私が初めて日本に来たのは200611月で、わずか5カ月後のことです(笑)。それには理由がありました。というのは、この「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」はシリアルノミネーション方式で世界遺産リストに登録された産業遺産だったのです。この経験から、スチュワートと私はいろいろな角度から議論する中で、日本の産業革命遺産はコーンウォールと同じように構成資産が広い地域に分散した大規模なものであり、コーンウォールと同様のシリアルノミネーション方式が極めて適しているという結論に至りました。

 前述したように、スチュワートと私は古くからの同僚であり、大変親しい友人でしたから、私たち二人のコーンウォールでの経験がそのまま日本にも役立てることができるのではないかと考えたわけです。このことが、私が今こうしてこの場にいる理由です(笑)。

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