明治日本の産業革命遺産
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PEOPLE

2021.10.06
Vol.44
三角西港を作った先人の知恵、技術、行動力を子供たちの代へと継承していきたい~コロナ後も続く未来を見据えて今できることに全力で取り組む~

熊本県宇城市長

守田 憲史 氏
守田 憲史 氏

故郷が世界遺産に登録されるとはゆめゆめ思っていなかった

加藤 守田市長とは幾度もお目にかかっていますが初めてお目にかかったのは……。私は三角西港の開港120年の記念式典に参加したのですけど、あれはいつでしたか?

守田 2007年です。私はもっと以前から加藤先生のことを存じ上げておりましたが、初めてご挨拶をさせていただいたのはその折だと思います。

加藤 2007年は専門家委員会が発足した年でもあるのです。そこから2年後の2009年10月に東京プリンスホテルで視察と審議の結果を発表する会合を開催しました。

守田 私が宇城市長として大きな会合の場に出席させていただいたのは、2014年に開催された産業遺産国際会議でした。三角西港が明治日本の産業革命遺産の構成資産の一つに選ばれたということでありがたく、そして非常に嬉しくてじっとしてなどいられないといった感じでした。あの日、会場は大勢の人であふれていました。そんな中、加藤先生をはじめ、錚々たる方々が登壇され、ピリッとした緊張感に包まれたのです。私にしても、構成資産の選定作業を経て、いよいよ本格的に世界遺産登録が現実になるのだなと心が沸き立ちました。

加藤 私は1999年から「日本の産業遺産」を世界遺産登録するという発案を胸に動いていたので、2007年時点で約8年が経過していたことになるのですが、東京プリンスホテルでの会合はエポックメイキングなこととして心に刻まれています。とはいえ乗り越えなければいけない難問が山積していて、世界遺産登録を実現するまでに更に8年もの年月が必要だったわけですが。

守田 私は世界遺産登録を目指すという話を伊藤知事(鹿児島県知事伊藤祐一郎氏)から伺ったのですが、伊藤知事の情熱やバイタリティもすごかったですね。

加藤 伊藤知事のような方がいらして、リーダーシップを発揮してくださったからプロジェクトを進めることができたのだと感謝しています。抵抗を示す方も大勢いましたから。

三角西港東排水路.JPG

守田 私はシリアルノミネーションという発案に驚いたものの抵抗を感じることはありませんでした。なるほど、そういうことができるのかと納得したのです。しかしながら構成資産の候補に三角西港が含まれていると知った時は耳を疑いました(笑)。私は下益城郡小川町、現在の宇城市の出身で、大学進学のために上京しましたが卒業と同時に地元に戻りました。つまり大学時代を除いてずっと宇城市に暮らしているわけですが、わが故郷が世界遺産に登録される日が来るとはゆめゆめ思っていませんでした。自慢の故郷ではありましたが、産業遺産としての価値といった観点に欠けていたのです。

加藤 灯台下暗しだったと。

守田 それでいて私は「わが故郷が世界遺産に登録される!」と楽観的に受け止めていたのですが、熊本県の担当者が「いやいや、そんなに簡単な話じゃない。暫定入りでもしたら奇跡ですよ」と言うので「ええっ!」と。

加藤 三角西港に関しましては、世界遺産委員会から三池炭鉱で発掘された石炭が三角西港へ運ばれていた、あるいは運ばれる計画だったという証拠が求められるだろうといわれていたのですが、なかなかみつからなくて苦労したという経緯がありました。

守田 粘り強く取り組んでいただき感謝しています。私といたしましてもボンヤリしてはおられないと火がつきまして、熊本県議会で取り上げ、熊本県の方々にしっかりとお伝えしなければと動き始めたのです。宇城市民の皆様の驚きはものすごく大きくて、新設合併して宇城市となってから20年近く経ちますが、一番の大行事でした。

加藤 守田市長は2015年に世界遺産登録が決まった時には、すでに市長に就任しておられたのですね?

守田 そうです。それまで熊本県議会議員でしたが、2013年に行われた宇城市長選挙で初当選いたしまして。世界登録決定の瞬間を龍驤館で行われたパブリックビューイングを通して観ておりました。歓喜というのはああいうことを言うのですね。100名ほどの地元の方々のあいだで「ついにやった!」といった歓声があがり、盛大な拍手が巻き起こるなど大変な盛り上がり様でした。

写真:三角西港東排水路 提供:宇城市教育委員会

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